今年はアメリカ独立250周年です。
その前史として、ボストン茶会事件という項目が高校世界史の教科書にあったと記憶していますが、茶法と課税権の緊張関係が当時のアメリカ社会に大きな反発を生じさせたようです。
そのスローガン「代表なくして課税なし」の精神は、日本国憲法84条にも受け継がれています。
ところで、現代日本の税務調査は、①所轄税務署による調査、②国税局資料調査課(リョウチョウ)による調査、③国税局査察部(マルサ)による査察調査に分かれます。
大部分は①であり、(課税庁・納税者間に見解の相違がありつつも)修正申告により終了するのが大半と見られますが、ごく少数は③を経て刑事事件として検察庁に告発されます。
令和7年度における告発件数は82件、脱税総額(告発分)は84億円でした。同年中に言い渡された一審判決80件は全て有罪判決であり、6人に対して実刑判決が言い渡されました。
(出典:国税庁「令和7年度査察の概要」 https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2026/sasatsu/r07_sasatsu.pdf )
私見では、刑事事件としての脱税事件(逋脱犯)については、a)逋脱所得・逋脱税額そのものの成否、b)共謀の成否、c)その他論点、に分けるのが実務的な思考方法であると考えます。
a)は、正に脱税事件に固有の論点であり、税務・会計の専門知識が必要となります。税理士のアドバイスを得ることが最も必要とされる論点です。
b)は、他罪種の刑事事件においても散見されるところであり、刑事弁護人であれば常に検討を怠らない論点です。直接証拠たる共犯者供述の信用性や、種々の間接事実の推認力を慎重に検討する必要があります。
c)については事案ごとに異なりますが、法的論点の位置付けや証拠関係について十分検討する必要があります。